阿出川 さとみ(あでがわ
さとみ)さん
(生物システム応用科学府・博士前期課程生物機能システム科学専攻2年)
国立 筑波大学附属高等学校 2010 年卒業 指導教員:佐藤
令一 先生
●参加学会: Society for Invertebrate Pathology 49th Annual Meeting (Contributed paper. Tuesday,11:15,107-STU:57p) http://sipweb.org/about/awardWinners.html (受賞一覧)
●テーマ:「Multi-binding ability to functional receptors and BmABCC2
dependent cytotoxicity-relevant property
of the domain II loop region of Cry1Aa」 ●内 容: Cry 毒素は土壌細菌 Bacillus thuringiensis が産生する殺虫 性タンパク質です。ある範囲の昆虫のみを殺し、人畜には無害 なことから、Cry 毒素は生物農薬として広く農業を支えてきた 実績を持ちます。Cry 毒素の高い殺虫特異性は、昆虫側の受容 体と毒素との特異的な関係に依存すると考えられています。 本研究ではCry毒素上のほぼ同じ領域が、昆虫側の二つの受容 体と結合し、毒性を発揮するのに重要であることを初めて報告 しました。同じ領域で複数の受容体と相互作用できるこの性質 は、Cry 毒素が昆虫細胞上の様々な受容体を利用して毒性を発 揮できるよう進化してきたことを示唆していると考えられまし た。 本研究成果は Cry 毒素の殺虫機構の解明に大いに役立ちま す。それにより、日本では「タンパク質殺虫剤」と命名できる 商品として有機農業の発展に大きく貢献し、また海外ではすで に30億人が食べている、害虫抵抗性遺伝子組換え作物 (Bt作 物) の遺伝子源としての利用価値をさらに高めることができる と期待されます。 |
●受賞日:2016年7月25日