No.8【質問】昆虫採集時の注意や昆虫生態写真の撮り方について教えてください。

2012/10/16 17:58 に www2 creator が投稿   [ 2013/01/22 21:16 に更新しました ]
● 科学なんでも相談室● No.8

【質問】
夏休みの自由研究で昆虫の生態を調べようとしています。そこで、昆虫採集時の注意や昆虫生態写真の撮り方について教えてください。

【答え】
 簡単に解説しますが、写真の撮り方についての詳しい解説は、Webページ(http://www.viva-insecta.com/)に掲載してありますので、それを参考にしてください。

1.昆虫採集の準備

 昆虫採集は野外での活動が中心となり、山地、川原、野池には危険な場所が沢山あります。服装や持ち物も場所や季節、時間に応じたものが必要になります。事前に地図を見て行く場所を確認することや、その地方の天候を調べておくことが特に必要でしょう。そして一番大切なことは無理をせず、怪我や事故にあわずに帰ることです。そのためには十分な準備が必要となりますので、以下に記載したことを忘れないようにしてください。危険は常にあることを忘れないようにしてください。自然界では何が起こるか予見することが困難な場合があります。昆虫採集を介した自然への調査や探検はワクワクするものです。自然をあなどると思わぬ怪我や事故になりますので、万全の注意と行動が必要になります。なお、昆虫採集は一人では行かないこと。また、友達と行く時にも必ず、行き先を家族に伝えることを忘れないでください。

2.昆虫採集へでかけるときの服装と持って行く物の注意

  • 昆虫採集をする季節は夏場が多いと思います。夏の日差しをさける帽子は必需品です。黒い帽子よりも白い帽子のほうが良いですが、帽子の中は熱くなるので、時折脱いで、換気を良くすることが重要です。
  • 日焼け、虫さされ、怪我を防ぐため、長そでのシャツや長ズボンが必要です。シャツやズボンはポケットが多くついていると便利です。 時計は腕につけていってください。
  • 履きなれた運動靴で行くことをすめます。水辺や、ぬかるんだ場所を歩くときには底がしっかりとしたゴム長靴をはいていきましょう。
  • リュックサックには、採集用具、トラップ、野外手帳、地図、筆記用具、カメラ、懐中電灯、雨具、簡単な医薬品(痒み止め、傷薬、抗生物質入り軟膏、バンド・エード、包帯など)を入れましょう。カメラの電池も忘れずに。 また飴玉、キャラメル、チョコレート、チーズ等を用意しましょう。道に迷い方向が分からなくなった場合でも、甘いものやちょっとした食料があればいくらか安心できます。
  • 夏場は水分補給のため、水、お茶、スポーツ飲料  を準備しましょう。汗をかくので、こまめに水分を補給してください。ジュースやコーラなど糖分の高い飲料水は避けたほうが良いでしょう。
  • 熱中症を防ぐ意味からも、日陰で休憩を随時取るようにしましょう。
  • 夏場では天気が急変することがよくあります。遠くで雷の音がするようになったら、落雷に注意する必要がありますし、河川では上流の雨によって突然水位が上昇することがありますので、川の中州にいるような場合は、直ぐに岸辺に移動してください。
  • ・笛や携帯電話は、怪我(けが)をして動けなくなった時、助けを呼ぶのに役に立ちます。コンパスも準備してください。携帯電話の充電は必ずしていくことが必要です。

3.昆虫採集が制限されている場所について

  • 国立公園内や、特別保護地区または私有地などでは、立ち入りや昆虫採集が禁止されている場所があります。調査や研究を目的とした採集をしたい場合、事前に申請書を作成し、許可を得なければ採集はできません。これはルールですから、守ってください。子供だからと言って、許してはくれませんよ。
  • 昆虫採集をするときには、周りに他の人がいないことを確認してください。やたらと網を振り回すと、思わぬ怪我を他人に負わせることになりますので、注意しましょう。また、採集場所が田畑や果樹園などに近い場合、農作物に注意しましょう。畑の中に入ることや果樹を痛めることのないよう注意しましょう。

4.昆虫撮影用のカメラについて

 昆虫採集を行うとき、生息環境や食草、天候の記録として写真は大変便利なものです。その中でもデジタルカメラはフィルムカメラよりも安価に枚数をたくさん撮影できるとともに、日付と時間も同時に記録してくれるため、後々のデータ整理に大変役に立ちます(GPS機能付きのカメラが良いでしょう)。
カメラ自体は高価なものですので取り扱いは充分知っておかなくてはいけませんが、記録する習慣をつける意味でも、昆虫採集の時にはデジタルカメラを持参すると良いでしょう。携帯電話のカメラでも良いですが、自然観察や昆虫採集のための専用カメラを持つと良いでしょう。

 デジタルカメラには大きく分けて「一眼レフ式デジタルカメラ」と「コンパクトデジタルカメラ」の2種類あります。ここで両者の長所・短所を若干記載しましょう。

 一眼レフ式デジタルカメラは、①ズームレンズ、望遠レンズ、広角レンズ、接写レンズなど、多彩なレンズが交換使用できる、②コンパクトデジタルカメラよりも画質が良い、③オート機能が充実しているので使いこなしはそれほど難しくない、という長所があります。しかし、大きくて重い、動画は撮れない、レンズを含んだ価格が7万円~数百万円までと、とても中学生や高校生には手が届かないという欠点もあります。

 一方、コンパクトデジタルカメラは、軽量小型でポケットにも入る、さまざまな設定が可能ですが、基本的には①シャッターボタンを押すだけで綺麗(きれい)に写真が撮れる、②機種によっては動画も撮影できる、③日本製の有名メーカーの物で3万円くらいからある、などの長所があります。しかし、残念ながらレンズは交換できませんし、一眼レフ式デジタルカメラよりは画質が落ちる、といった欠点もあります。

 どちらのカメラもそれぞれの長所と短所がありますが、身近な自然や昆虫を記録することや昆虫採集のデータ保存を目的とするなら、最初の一台目は携帯に便利で、シャッターを押せばきれいに撮影できるコンパクトデジタルカメラをお勧めいたします。全員が昆虫写真家となるわけでもありませんので、記録第一主義で対応しましょう。また、最近のコンパクトデジタルカメラは、機種によって水中での撮影が可能となる「水中ケース」がメーカーから販売されています。これを利用すると、水生昆虫の撮影もできますし、雨の日の調査でもカメラが水に濡れることを気にせずに写真を撮ることができます。

 コンパクトデジタルカメラで昆虫を撮影するときのチョットしたコツを紹介しておきましょう。コンパクトデジタルカメラは大変高性能で、レンズから1~2センチの被写体を撮影することが可能です。しかしそんなに近づいては昆虫が逃げてしまうことが多くあります。反対にカメラのズームを望遠にして昆虫から離れると、今度は逆にピントが合う位置が遠くなり、思う大きさに昆虫を撮影できません。このような昆虫から離れて望遠で寄って大きく撮影したいときは「クローズアップレンズ」というレンズを使うとうまくいきます。カメラ用品店などで安く買うことが出来ます。使い方は簡単で、コンパクトデジタルカメラのレンズの前にかざすだけで、望遠にしたままより近づくことができます。試しにクローズアップレンズとコンパクトデジタルカメを持って散歩に行ってみてください。これまで見えなかったものが観察できるはずです。ちょっとした工夫ですが、お金をかける以前に、創意工夫が大切です。