No.4【質問】羽根のない扇風機は、どのような仕組みで風がおきるのですか。普通の扇風機の風と違いがあるのでしょうか。

2012/10/16 17:47 に www2 creator が投稿   [ 2013/01/22 21:18 に更新しました ]
● 科学なんでも相談室● No.4

【質問】
羽根のない扇風機は、どのような仕組みで風がおきるのですか。普通の扇風機の風と違いがあるのでしょうか。

【答え】
 ダイソン社が販売している製品を想定していると思いますが、この扇風機のドーナツ状部分の「穴」に空気の流ができて送風機となります。詳しい説明は、添付した図をもとに説明します。

 ここでは空気の吸い込まれる側(上流側)は左側です。リング状をしている断面を見ると内側が膨らんだ、飛行機の翼のような断面をしています。空気の流れが左から当たれば飛行機の翼の原理、すなわち速く流れる側の圧力の方が低くなる、から下左図において下側(内側)の圧力が上側(外側)の圧力よりも低くなります。したがって、左から右への空気の流れがあれば、流れを内側に巻き込むようになりより多くの風を右側に吹き出します。

 しかし、最初は流れがありません。そこで、上図の断面図を見て下さい。すぐわかるとおもいますが、飛行機の翼と違ってその断面の上流側(吸い込み側)にはスリットがあります。そこから空気を噴出してあげるとその部分の流れが速くなり圧力が下がり、結果的に周囲から空気を巻き込み、スリットから出た風の方向により強力な風を生じることになります。スリットから噴出する空気は台座のところにある小さなファン(普通の扇風機)によって供給されます。上図のようにリングの断面形状をうまく作れば周囲の空気を効率良く巻き込むことが出来、コマーシャルのように台座から吸い込んだ空気の量の15倍の空気を吹き出すことが出来るわけです。私自身は15倍という数字は確認していませんが、このように形を工夫した道具に「普通の扇風機」の風を送り込んで、より大きな風にする装置が「羽根のない扇風機」と考えるとよいでしょう。

 因みに、本学・工学部・機械システム工学科の新井紀夫研究室では、このような低速流、血流、パラシュート周りの流れに関する研究を行っています。