No.27【質問】遺伝子頻度

2014/11/11 21:25 に www2 creator が投稿   [ 2014/11/12 20:51 に更新しました ]


 

【質問】

 高校2年の女子です。

アルコールを飲んだときに、アセトアルデヒドを分解する酵素について伺います。

 その酵素の優性の遺伝子をA、劣性の遺伝子をaとしたとき、AAの日本人は56%
Aaの人は40%aaの人は4%いる、と聞いたことがあります。aの遺伝子頻度を0.2として、
どうなるのか気になり計算したところ、AA64%Aa32%aa4%となり、
数字が大きく異なることに驚きました。これは誤差の範囲を超えているのではと思い、
理由を考えてみたのですが、あまり思いつきません。
 たまたまなのか、それとも何か特別な理由が考えられるのか、教えてください。
よろしくお願いします。

【回答】
 遺伝子頻度と異なる遺伝子型を持つ個体数の頻度との関係式は、

高校の生物教科書にあるように、その生物集団がハーディー・ワイン

ベルグの法則が成り立つ場合に適用できます。すなわち、次の場合です。

1.自由交配(任意交配)である。
2.個体群内の個体数は十分に大きい。
3.他の個体群との間で個体の流出・流入がない。
4.突然変異が起こらない。
5.遺伝子型や表現型の違いによる自然選択がない(生存価が同じ)。

 日本人の遺伝子頻度の分布が長年にわたって変化していないと

すると、この分解酵素の弱い遺伝子と強い遺伝子とは生存価が同じと

推定されます。生存価が同じで、さらに他の条件がほぼ満たされていれば、

質問は、日本人の遺伝子頻度の分布がa0.2としたときに推定される

理論値と実際の調査値の間に差があるかないかという問題ですが、

これは統計学的には母比率の検定で調べることができます。しかし、

日本人の遺伝子頻度の分布を調査したときの対象集団やサンプル数

などが明確でないので差があるか否かを厳密に調べることができません。

直観的には理論値と調査値は驚くほど大きく異なるようには思えませんが

いかがでしょうか。

 


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