【質問】 こんにちは。高校一年の女子です。 よく、aの0乗は1(a≠0)と書いてありますが、では0の0乗は何なのですか? よろしくお願いします。
【回答】 0の0乗は「定義されない」と定義されます。数学では「0で割ってはいけない」と決まっていますが、それと同様です。しかし一方で、1と定義するときもあります。1と定義する場合は便宜的にそうすると都合が良い場合にそう定義しているようです。このときはこの定義を宣言して議論を進めます。 コンピュータソフトでもこの両者のうちどちらかを採用しているようです。
物足りない方はもう少し付き合って下さい。
a0 = 1 (a > 0) の意味を考えてみましょう。 まず、a0を y = ax でxを0に近づけるとして扱いましょう。そうすると、図1のようになって、a > 1 のときと 0 < a < 1 のとき、さらに a = 1 のときの3通りに分けて考えるのが都合よいということが分かると思います。いずれもxが正の数字から0に近づくにつれて、だんだん1に近づいて行きます。一方、0を過ぎてxが負の値となると、a > 1 のときの曲線と 0 < a < 1 のときの曲線が入れ替わり、ちょうどy軸を挟んで対称の形になります。 さて、今度はa = 0 としてみましょう。x > 0 であれば y = 0x = 0 です。0の√を何回も行なうと考えるとxが0に近づいて行くイメージができます。0は何回掛けても0だし、その平方根はずっと0。但し、xが負になると、「0では割れない」ので「定義できない」領域です。 このように、a > 0 であれば、その近くの状況から見て(全体的にも)、y = ax でa > 0 のとき、x = 0 であれば1、a0 = 1 と考えるのは「連続的」で自然でしょう。しかしながら、a = 0 の場合は、連続的に考えることができなくなっています。 次に、 y = xb で考えて見ましょう。bを正から負に変化させて行って描いてみます(図2)。そうすると、b = 0 のところでx軸と平行な y = 1 の直線と重なります。但し、b > 0 で x = 0 のとき y = xb = 0 となり、b < 0 では x = 0 で計算できなくなります。このように、 y = x0 は x = 0 で連続していません。 一方、図2のy = xbで、 b = ‐1 の場合を考えると、y = x-1 = 1/x となります。この場合xは負でも大丈夫ですが、x = 0 のところで明らかに不連続です(図3)。0を分母にすることができないということです。
これらを総合的に考えると00 はいずれの観点からも「定義できない」というのが妥当でしょう。但し、0を分母にすることはできないことと、若干状況は異なります。すなわち、y = a0 でaを限りなく0に近づけるように考えたとき、そして 00 そのものは意味をなさない場合には00 = 1 としてy = a0 の連続性を確保することには妥当性があるともいえるでしょう。
数学というときっちりとした数値の計算や関数の変換のイメージがつよいかもしれませんが、森羅万象の記述には様々な制約があります。連続性・不連続性も現実の世界を思い浮かべれば納得できるかもしれません。
有機材料化学科には数学の教員が2名所属しています。そのうちの合田研究室では「結び目理論」を研究しています。どんな仕事でしょう?名前から推論するのも面白いかもしれません。 |