No.15【質問】アオミドロの培養

2013/07/11 16:49 に www2 creator が投稿   [ 2013/07/18 1:02 に更新しました ]

【質問】

 初めて質問します。某都立高校2年の女子です。

 今学校の授業の研究でプランクトンについての研究をしています。

研究内容は様々なプランクトンについて、単離して培養し人間に有用な栄養素がどれだけ含まれているかを調べることです。

 今回培養するプランクトンはアオミドロ、アメーバ、ミジンコ、ミドリムシの5種類です。

しかし、単離がうまくいかず単独での培養ができていません。また、増えずに死滅してしまうこともあり、行き詰まっています。

 以前アオミドロの培養にハイポネックス1000倍を使ったのですが、藻が大量に発生しアオミドロが枯れてしまいました。

 単離の方法とそれぞれの単独培養方法を教えて下さい。

 

1. 用いている単離の方法
双眼実態顕微鏡で観察しながらアオミドロをピンセットでつまみ取り出す。
蒸留水でアオミドロを洗い流し倍地に移す。
2.
用いている培地
どの生物も一様にハイポネックス1000倍希釈液を使っています。
3.
培養およびその他の条件
常温の部屋で陽の当たる窓際に静置しています。
4.
アオミドロ培養中に大量発生した藻の種類
ツヅミモやイカダモを確認しました。

 

回答よろしくお願いします。

 

【回答】

 最初のご質問の内容,およびこちらからの問い合わせに対するご返答から,アオミドロを培養中に他の緑藻類が繁殖するので困っておられると理解しました。

 ご質問に対する直接の回答にならないと思いますが,私なら研究テーマを変えます。「どのような培養条件のときにアオミドロが増えるか」です。ハイポネクスの濃度,培養温度,pH,光の強さなどをさまざまに組み合わせ,他の藻類が繁殖せず,かつアオミドロが優占して繁殖する条件を見つけるのです。

 

 研究テーマを変えるのが嫌なら,以下を試してみてください。

 ピンセットでつまみ取り出したアオミドロをしつこく洗う。少なくとも10分。

 ハイポネクスをさらに薄める。3,000分の110,000分の1,あるいはもっと。

 培地を変える。アオミドロを培養するには,以下の培地(3N-BBM+V, bold basal medium with 3-fold nitrogen and vitamins)が適しているようです。

硝酸ナトリウム,750 mg;塩化カルシウム二水和物,25 mg,硫酸マグネシウム七水和物,75 mg;リン酸水素二カリウム三水和物,75 mg;リン酸に水素カリウム,175 mg;塩化ナトリウム,25 mgEDTAナトリウム,4.5 mg;塩化第二鉄六水和物,582 µg;塩化マンガン四水和物 246 µg;塩化亜鉛,30 µg;塩化コバルト(II)六水和物,12 µg;モリブデン酸ナトリウム二水和物,24 µg;ビタミンB1(チアミン塩酸塩),1.2 mg;ビタミンB12(シアノコバラミン),10 µg(以上,いずれも蒸留水1 L中の量)

 陽の当たる窓際に置いては,培養温度が上がりすぎます。1025℃で光を当てながら培養してください。

 アオミドロの単離株を購入する。英国藻類原生動物カルチャーコレクション(http://www.ccap.ac.uk/index.htm)で購入できます。日本国内でアオミドロを購入できるところは寡聞にして知りません。

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